合否の判定となる自動車の基準値

 

現在道路上に存在する車輌は、安全面や環境面等、様々な基準をクリアして国交省の認可を受けて走行しております。

 

これらの基準となるものが、「道路運送車両の保安基準」となり、安全的でないもの、また環境に悪影響をおよぼすものなどの道路の運行を禁止しております。

構造変更を業務として行う方であれば、審査事務規程(下リンク参照)をお持ちであるかと思いますが、車輌の各部に設けられております保安基準についてその基準内容と検査方法等について解説されております。



これに記載されていること全てについてこちらで紹介いたしますと、かなりのページを割いてしまうこととなりますので、主に必要となる部分を抜粋して説明をしていきたいと思います。

 

外寸に係る基準

外寸に関しましては、車種ごとにそれぞれ上限が設定されています。


車   種 長さ (m) 幅  (m) 高さ (m)
軽自動車 ~3.40 ~1.48 ~2.00
小型車 ~4.70 ~1.70 ~2.00
普通車 ~12.00 ~2.50 ~3.80

普通車以外で上記の寸法を超えた場合、長さ、幅、高さのそれぞれが12.00m、2.50m、3.80mを超えない範囲で、該当する車種への構造変更が可能です。

リアオーバーハングに関して、小型車貨物車はホイールベースの11/20以下、普通貨物車はホイールベースの1/2以下であること。

但し積載物を後方に突出させて運航することが出来ない構造のものにあっては、ホイールベースの2/3以下であること。

 

最低地上高に係る基準

最低地上高は、空車時においてタイヤと連動して動くブレーキやロワアームの下端、ゴム製の部品、マッドガード、樹脂で出来たエアロパーツ以外の部分で最低となる位置を測定して、

a. 9㎝以上であること

b. 軸間において、(ホイールベース)×(1/2)×(0.04)+4 以上であること

c. 前後それぞれのオーバーハングにおいて、最低地上高となる部分までの前後各軸からの距離を Ob とし、Ob部分の最低地上高が

  Ob×(0.11)+2 以上であること

上記 a~c をすべて満たすこと。

但し、自動車の構造及び保安上重要な部分が接触等の衝撃に十分耐える構造のものや、それらの部品を保護するためのアンダーカバーが装着されているものは、上記条件の a. の数値を 5㎝ とし、a.及びb.の基準を満たしていれば良い。

この時、車高調整式のものにあっては、中立状態(最短時と最長時の中間位置)とする。

 

荷重分布計算書に係る基準

荷重分布計算書では、各軸ごとの積車時の重量を算出しますが、各軸重とも 10t を超えてはいけません。

また輪荷重は 5t を超えてはいけません。

タイヤ負荷率を超えてタイヤを使用することは出来ません。

算出用の計算式は 計算用公式集 にて解説

 

最大安定傾斜角度計算書に係る基準

二輪車、被けん引自動車を除く車輌において、空車状態で最大安定傾斜角度が35°以上であること。

但し、側車付二輪自動車は25°以上、最高速度20㎞/h以下の車輌、又は車両総重量/車両重量が1.2以下の車輌は30°以上であること。

また被けん引自動車は連結時の最大安定傾斜角度において35°以上であること。

算出用の計算式は計算用公式集にて解説

 

その他の安定性

空車時、積車時のそれぞれにおいて、舵取り車輪の設置部にかかる荷重の総和が、空車時重量、積車時重量のそれぞれ20%以上であること。

但し三輪自動車に於いては、18%以上であること。

側車付二輪自動車について、側車の車輪にかかる荷重が、車両重量及び車両総重量のそれぞれ35%以下であること。

 

制動能力計算書に係る基準

テスター又は計算により算出された制動力が基準となる計算式より導き出された制動力よりも大きいこと。

制動停止距離に十分な余裕があること。

伝達方式をエア式とする場合にあっては、エアの供給能力が十分に満たされていること。

算出用の計算式は 計算用公式集 にて解説

 

最小回転半径計算書に係る基準

最小回転半径は12m 以下であること。

計算上11m を超える場合、検査時に実測となります。

算出用の計算式は 計算用公式集 にて解説

 

車枠強度検討書に係る基準

車枠強度検討書にて算出された破壊安全率が 1.6 以上であり、且つ降伏安全率が 1.3 以上であること。

算出の手法は 強度検討書等を作成するための考察 を参照

 

動力伝達装置強度検討書に係る基準

動力伝達装置強度検討書にて算出された破壊安全率が 1.6 以上であり、且つ降伏安全率が 1.3 以上であること。
プロペラシャフト、ドライブシャフト等の計算式は 計算用公式集 にて解説

それ以外の場合の算出の手法は 強度検討書等を作成するための考察 を参照

 

走行装置強度検討書に係る基準

走行装置強度検討書にて算出された破壊安全率が 1.6以上であり、且つ降伏安全率が 1.3 以上であること。

車軸強度等の計算式は 計算用公式集 にて解説

それ以外の場合の算出の手法は 強度検討書等を作成するための考察 を参照

 

操縦装置強度検討書に係る基準

操縦装置強度検討書にて算出された破壊安全率が 1.6 以上であり、且つ降伏安全率が 1.3 以上であること。

算出の手法は 強度検討書等を作成するための考察 を参照

 

制動装置強度検討書に係る基準

制動装置強度検討書にて算出された破壊安全率が 1.6 以上であり、且つ降伏安全率が 1.3 以上であること。

算出の手法は 強度検討書等を作成するための考察 を参照

 

緩衝装置強度検討書に係る基準

緩衝装置強度検討書にて算出された破壊安全率が 1.6 以上であり、且つ降伏安全率が 1.3 以上であること。

各種スプリング、シャックルの計算式は 計算用公式集 にて解説

その他構成部品の算出の手法は 強度検討書等を作成するための考察 を参照

 

連結装置強度検討書に係る基準

連結装置強度検討書にて算出された破壊安全率が 1.6 以上であり、且つ降伏安全率が 1.3 以上であること。

算出の手法は 強度検討書等を作成するための考察 を参照

 

 

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